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哲学的なアニメ!?「イヴの時間」を見返したので考察していく。

こんにちは!皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は最近家にいるおかげで映画もアニメも見放題でなんだかんだハッピーな日々を過ごしています。

時間があったのでどうせならめちゃくちゃ難解な作品を自分の中で昇華してやろうと思い、いろいろなアニメや映画を見返したりしています。

最近見た作品をリストアップすると→「虐殺器官(伊藤計劃3部作)」、「Ghost in the shell(昔の映画版のやつ)」、「イノセンス」、「パプリカ(映画)」、「バッカーノ!」、「Serial experiments lain」など。SFばかり見てます。

そんな中で印象に残った作品の一つがこの「イヴの時間 Are you enjoying the time of EVE?」です。今回はネタバレを交えつつ、本作をじっくり考察していこうかな?と考えています。

あらすじ(Wikipediaより一部抜粋)

「未来、多分日本。”ロボット”が実用化されて久しく、”人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」(原作冒頭の記述)

アンドロイドは人間と区別するためのリングを頭に表示し、無表情で人間に奉仕する。だが、ロボットが社会の様々な分野に進出して人間から仕事を奪い、アンドロイドに精神依存する「ドリ系」と呼ばれる人々が確実に増え続けており、それを危険視する「倫理委員会」が広報活動に勤しんでいた。また、旧式化したロボットが不法投棄され野良ロボットとして徘徊することが社会問題となっている。

高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。級友のマサキと共にGPSを辿って行き着いたのは「イヴの時間」という不思議な喫茶店だった。「人間もロボットも区別しない」ことをルールにしたその店では、誰もが人間らしく振る舞っており見た目では区別がつかない。彼らは思い思いにそこでの時間を楽しんでいた。リクオとマサキは好奇心から店に通うようになる。

やがてリクオは店でウェイトレスのナギに悩みを相談しているサミィと鉢合わせてしまう。家で見せるそれとは別の貌のサミィにリクオは戸惑い、裏切られたような気持ちを抱く。マサキはロボット3原則に「人間に嘘をついてはならない」という項目がないことから、「ヤツらは平気で嘘をつくんだ」とリクオに語る。

リクオとマサキにはそれぞれロボットに傷つけられた過去があった。店とそこに集う「ヒトビト」と関わるうち、少しずつそこで出会う「ヒト」たちに心を開いていくリクオ。リクオの変化にかえって心を閉ざしてしまい、店には寄りつかなくなるマサキ。そんな二人をよそに「倫理委員会」の調査の手が「イヴの時間」にも及ぼうとしていた・・・。

登場人物(若干のネタバレ含む)

向坂リクオ

主人公。普通の男子高校生。自宅にはハウスロイドのサミィがいる。ほかの人間然り、サミィを人間扱いしないよう努めてはいるが、基本的には信用している。サミィへの態度のせいで、姉から「ドリ系」になることを心配されている。14歳までピアノを弾いていたが、コンクールでロボットピアニストが弾いた演奏に感動したのが悔しくてピアノをやめてしまった。

真崎マサカズ

リクオの友人。幼い頃からテックスというハウスロイドに育てられ信頼していたが、両親の離婚後、突如口を開くことがなくなったテックスに傷つけられた過去を持つ。実は勉強できる子。

サミィ

リクオの家のハウスロイド。普段はハウスロイドらしく無表情で無機的な立ち振る舞いであるが、その裏でひそかに「イヴの時間」の常連客となっていた。

ナギ

「イヴの時間」のウェイトレス。どんな客にも明るく接してくれるいい人。過去のある出来事から、「イヴの時間」を開店することを決意した。

アキコ

常連客の一人。よくしゃべる。ニット帽がトレードマーク。

コージ

いつもリナといちゃついてる地味な男。彼女に秘密を隠している。

リナ

いつもコージといちゃついているグラマラスなお姉さん。彼女も彼に秘密を隠している。

シメイ

優しいおじいちゃんでチエの保護者。彼女に対してある秘密を抱えている。

チエ

いつもネコのまねをして遊んでいる女の子。

セトロ

見るからに怪しい男。

カトラン

旧型のハウスロイド。几帳面な性格。

みどころ

圧倒的なCGアニメーション技術でロボット(アンドロイド)と人間との心温まるエピソードを描いた作品です。

映画の構成としては、リクオ(&マサキ)と、「イヴの時間」常連の人との関わりを描く短編集となっています。

また、作中で専門用語が多数登場し、理解するのに何度か見返す必要がある作品でもあります。

難解な上に凄く哲学的な作品で、人間の視点でアンドロイドと接する際の葛藤を描くだけではなく、感情を持ったアンドロイドの苦悩もしっかりと描写されており、ロボットに感情が芽生えたら果たして何が起こるのかということをよく考えさせられる作品です。

考察

作中の時代背景ではアンドロイドは人間とは線引きされた存在であり、不眠不休で働く労働者のような存在です。

「機械が作ったトマトを食べますか?」という倫理委員会の広告が、人間から仕事を奪っていくアンドロイドへの不信感を的確に描写しているといえます。

人間がアンドロイドと共存する世界。しかし両者の間には軋轢が生じています。

ここから両者が溝を埋め、手を取って共生していくようになるには時間がかかると思います。

しかし、「イヴの時間」という場所は、人間と感情を持ったアンドロイドの間に明確な差異など無いと言うことを体現していると思います。

このような時代が来たとして、AIと人間の間に軋轢が生じたとしても、いつかは両者の溝も埋まるだろうということを暗示しているのかもしれません。

私はこの作品を通して、好きな人は人間だろうがアンドロイドだろうが愛せばいいのだという雑な結論に至りました。

おわりに

今回はAIやアンドロイドについて深く考える内容となりましたが、AIが感情を持つ日はいつかやってくるのでしょうか。

また、この手の話でよく議論される「不気味の谷」を越えた先で、人間はアンドロイドを同じ生命体とみなすことが出来るのでしょうか。

感情を持ったAIと人類が共存できるのかといった題材を描いた作品は2000年代初め頃から現在に至るまで多くの作品が制作されており、枚挙にいとまがありません。

この手の題材でおすすめな作品の一つとして、「Detroit:Become Human」を挙げたいと思います。

「イヴの時間」の主人公はリクオ(人間)で物語が進行していきますが、こちらは感情を持ったアンドロイドの視点で物語が展開しています。

両方の作品に触れることでまた違った発見があるかもしれません。

映画を見ているかのような没入感を体験できるゲームなのでおすすめです。

東ロボ君(AIに東大合格させるプロジェクト)のリーダーである新井紀子さんによると、現行のAIはデータを高速で検索して答えを出す能力には長けているが、逆に言うとそれしかできないと言うことで、人と同じような感情を持つことはしばらくないだろうということです。

SF好きな私は精巧に作られたアンドロイドの登場を日々待ち焦がれていますが、やはりそのようなアンドロイドは未だフィクションの世界にしか登場しない代物なのでしょう。

こんな時代だとSFに期待する方が楽しいです。

※記事にボリューム不足を感じるため、のちのちリライトします。

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